2007年10月11日木曜日

Ubuntuの中でWindowsXPを動かす 「VMware Server」



前回ご紹介した通り、パソコンが2台あれば、フォルダ共有、リモート接続で、UbuntuとWindowsの共存環境を作れます。

しかし、1台しかない場合、「エミュレータ」を用いて、Ubuntuの中でWindowsを動かしたり、その逆にWindowsマシンの中でUbuntuを動かす方法があります。今回ご紹介するのは、「VMware Server」というエミュレータ・ソフトウェア。
上の画像は、Ubuntuのデスクトップの中で、WindowsXPを動かし、その中で、「Gyao」を観ている例です。こんな事ができてしまいます。

「Emulate」とは元々「真似る、見習う」という意味ですが、コンピュータの用語では、「特定のハードウェア向けに開発されたソフトウェアを別の設計のハードウェア上で実行させること」を意味しています。
このVMwareは、パソコンの中で、ソフトウェア的に「仮想のパソコン」を動かしてしまうものです。
VMware Inc.によって開発され、簡易版であるVMware Playerと共に無償で使う事ができます。
元々はこの製品、有料の商品だったのですが、今では何と無償で使えるようになったものです。

実機のマシンをホストOS、その中で動く仮想マシンをゲストOSと呼んでいます。
このVMwareシリーズでは、PC/AT互換機自体をエミュレートしているため、Windowsはもちろん、他のLinuxディストリビューションなど、様々なOSを動かす事ができます。
上の画像の例では、クリックして拡大していただくと解かりますが、WindowsXPの他に、6つのOSをインストールしてあり、上部のタブを切り替える事で、それぞれを使い分ける事ができるようにしています。(さすがに、計7つを同時に動かすとメモリが足りなくなります。でも私の環境では2GBのメモリで3〜4つ位は並行して動かす事もできますが)

VMwareの凄い所は、実ハードウェアに近い性能を実現しており、ネットワークもホストと同等の速度で認識される点です。
従って、実際に使ってみると分かりますが、一般的な作業を行っている限りでは、体感的には本物のマシンとさほど変わりない速さで動作します。
しかし構造的に、画面描画やディスクI/Oの動作は実ハードウェアに比べると性能は落ちます。
ですから、3DCGや、解像度の高い動画、DVDへのライティングなどは動作が遅くなります。

ハードウェアの性能にもよりますが、オフィスアプリケーションやインターネットの使用程度であれば、問題なく使えると思います。

これにより、Ubuntuをメインとして移行したとしても、今までに購入したOS、ソフトウェアを無駄にする事なく使い続ける事ができるのです。
Windows対応のソフトウェアに匹敵するアプリケーションがUbuntuにはたくさんありますが、どうしても使いたいソフトウェアがWindows版しかない場合に便利です。

さて、実際のインストールの手順などは、難しくはありません。
しかし、長くなってしまいますので、以下をご参照ください。

vol.8 2007.4.30号 Ubuntuの中でWindowsを動かす:VMware Server

vol.9 2007.5.1号  Ubuntu 7.04とWindows XPを1台のマシンに共存させファイルを共有する

いきなりWindowsからUbuntuに移行しても、きっとこれならば安心していただけるのではないかと思います。


2007年10月10日水曜日

Ubuntuマシンを遠隔操作する「freeNX」・・・WindowsからでもUbuntuからでもOK!

UbuntuマシンをWindowsまたは他のUbuntuマシンから遠隔操作する「freeNX」のご紹介です。
設定で参考にさせていただいたのは、次のページです。

■Ubuntu Documentation FreeNX
https://help.ubuntu.com/community/FreeNX

■Ubuntu日本語フォーラム:日本語入力について
http://forum.ubuntulinux.jp/viewtopic.php?pid=1670#p1670

では、実際に試してみた過程を下記に記します。極力コマンド入力を少なく記述しています。

(1)下準備

1、「nautilus-gksu」の追加
まずは、nautilusのフォルダを管理者権限で開くことができるツールである「nautilus-gksu」をSynapticでインストールしておきます。一旦、再ログインすることでこのツールが使えるようになります。

2、リポジトリの追加

Ubuntu7.04の場合、リポジトリは次のとおりです。
Synapticパッケージマネージャを立ち上げ、「設定(S)」-「リポジトリ(R)」を開き、「サードパーティのソフトウェア」のタブを選びます。
「+ Add...」をクリックし、APT line: の空欄に次の行をコピー&ペーストして「+ソースを追加(A)」をクリックします。

deb http://free.linux.hp.com/~brett/seveas/freenx feisty-seveas freenx

同様にして、次の行も追加します。

deb-src http://free.linux.hp.com/~brett/seveas/freenx feisty-seveas freenx

Synapticの左上の「再読込」をクリック。鍵がないというエラーメッセージがでますが、そのまま進めてしまいました。

*GPGキーの追加は次のとおり記載されているのですが、うまく行きませんでした。

wget http://free.linux.hp.com/~brett/seveas/freenx/seveas.gpg -O- | sudo apt-key add -

(2)FreeNX serverのインストール

Synapticで、「freenx」と検索。インストール指定をして「適用」で関連ファイルもインストールされます。
特に、ネットワーク上のやりとりを暗号化することで「盗聴」に対してデータを守るopenssh-serverも一緒にインストールされます。

ついでに書くと、このfreeNX、クライアント側での認証機構を設けることで、「なりすまし」も防げるようになっています。

次に、NXserverのユーザの追加とパスワードを設定します。
端末で次の通り、順番に入力していきます。(username)のところには、自分のユーザネームを入れます。

----------------------------------
sudo nxserver --adduser (username)

sudo nxserver --passwd (username)

sudo nxserver --restart
----------------------------------
サーバ側の設定は、以上で終了です。

(3)NXクライアントソフトのインストール

Ubuntuマシンからリモート操作する場合には、上記のリポジトリを追加した上で、Synapticから「nxclient」と検索してインストールすることが可能です。

Windowsマシンからリモート操作する場合には、NOMACHINE社のサイトからクライアントソフトをダウンロードします。

●ダウンロードページ
http://www.nomachine.com/download.php

「NX Client for Windows」がメインのアプリです。
nxfonts-75dpi-3.0.0-2.exe - Font Family 75 dpi.

Add-On Downloadsのフォント類も一緒にダウンロードして、順番にインストールしていきます。

Windowsの場合、デスクトップに置かれるショートカットをクリックで、まずはウィザードが立ち上がります。
Ubuntuの場合、パネルから「アプリケーション」-「インターネット」経由で「NX Connection Wizard」を立ち上げます。

freeNX002
[Session]
Session欄には、解りやすい言葉を
Host欄には、接続しようとするサーバのIPアドレスを入れます。

*サーバ側のIPアドレスを調べるには、端末で「ifconfig」と入力すれば表示されます。


freeNX003
[Desktop]
左上の欄は、UnixのままでOK。その右は、デフォルトでKDEになっています。標準のUbuntuの場合、GNOMEを選びます。

次に、リモートデスクトップの表示サイズを一覧から選択します。フルスクリーンも選べます。


freeNX004

[Configuration completed]
□Create shortcut on desktopにはあらかじめチェックが入っています。
□Show the Advanced Configuration dialogにもチェックを入れると、詳細の設定画面が現れます。



[General]
すでに、先ほど設定済みです。

freeNX006
[Advanced]
もしも、プロキシー経由で接続する場合には、「Connect thorough HTTP proxy」にチェックを入れ必要事項を入力します。

Keyboard欄で、「Use other layout」にチェックを入れ、「Japanese」を選択。
*Windows版(現バージョン)にはこの設定画面がありませんが、大丈夫でした。










freeNX007
[Services]
Sambaによるファイル共有、印刷などの設定です。
Multimedia supportにチェックを入れると、遠隔操作で音を鳴らしたりできます。(重くなりますが)

[Environment]
ここはそのままでいいでしょう。

ここまでで設定は終わりです。







freeNX008
最後に「Save」して「OK」をクリックするとログイン画面が現れます。
パスワードを入力し、「Login」ボタンをクリックすると,,,,,Ubuntuのデスクトップが立ち上がりました。
先ほどのMultimedia supportにチェックを入れていると起動音も聞こえます。

次回からは、デスクトップ置かれたショートカットのアイコンをクリックすれば、簡単にログインできますね。



(4)日本語の入力を可能にする


さて、以上で、Ubuntuのデスクトップを遠隔操作できるようになったのですが、問題は日本語の入力。
これを可能とするために、「Ubuntu日本語フォーラム」におけるhitoさんの書き込みを参照させていただき、設定をしたらうまく行きました。

テキストエディタのgeditを立ち上げ、下記をコピー&ペーストします。
#部分は要りません。
#############################################
#!/bin/bash

export LC_CTYPE=ja_JP.utf8
export XMODIFIERS=@im=SCIM
export QT_IM_MODULE=scim-bridge
export GTK_IM_MODULE=scim-bridge
export USE_XOPENIM=t
/usr/bin/scim -d &
/usr/bin/dbus-launch --exit-with-session gnome-session
#############################################
このスクリプト・ファイルをデスクトップに、「GNOME.sh」という名称で一旦保存しておきます。
ファイルマネージャで、/usr/NX/に移動。
この中から「bin」フォルダ上で右クリック。「管理者として開く」を選びます。
*下準備で「nautilus-gksu」をインストールしたのはこのためです。

先ほど作成した「GNOME.sh」を「/usr/NX/bin/」の中へ移動します。

作成後、パーミッションを変更します。端末で下記の通り入力します。
#####################
chmod 755 /usr/NX/bin/*.sh
#####################
次に、/etc/nxserver/node.conf を上記と同様に管理者として開き以下のように修正します。

変更前
#COMMAND_START_GNOME=gnome-session

変更後
COMMAND_START_GNOME="/usr/NX/bin/GNOME.sh"

*頭の「#」(コメントアウトの印)は外して、この記述を有効にします。
以上により、いつものAnthyが立ち上がるようになり、日本語入力も可能になりました。

前にご紹介したVNCと比べてfreeNXの良い点は、普段1280x1024で使っているマシンを遠隔操作した場合、Windowsの一部に表示させ るために1024x768で表示させたとしても、その画面内にパネルなどデスクトップ画面全体が全てきちんと表示される点です。VNCの場合、いちいちホ スト側の画面サイズを変更したり、クライアントソフトで画面縮小などをしなければ全体の表示ができない、また、画質が劣化してしまうのが使いづらいのですが、こちらですと、まるで自分のマシンのように使う事ができます。

ただし、freeNXの場合、セキュリティの関係上、インターネットでの使用には向きません。
LAN内での使用に止めた方がいいでしょう。LANを越えてインターネットでの使用の際にはVNCが向いています。